災害時の医療体制
近年、全国各地で大雨や地震などの自然災害が発生し、その後の生活に影響を受けることが多くなりました。
災害により交通が遮断し、通院に支障が出る可能性は十分にあります。東日本大震災の時にも抗HIV療法を受けている患者のうち24.1%が通院に支障が出ており、20.7%で震災直後に薬の保管場所や水や食事の確保、人目など服薬に何らかの支障が出ていました。実際に服薬中断せざるを得なくなることもありますし、多くの人が服薬の継続に不安を感じていたようです。1)
では、このような大きな災害が発生した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
災害拠点病院では大きな災害が発生した当日よりDMAT(災害派遣医療チーム)が出動し、その後JMAT(日本医師会災害医療チーム)などが体育館などの避難所の救護所で活動するなど被災地にて支援活動に取り組みます。
しかし、避難所の救護所でできることには限りがあります。医薬品に関しては、普段服用している常用薬と同じ薬を処方できるとは限りません。特に抗HIV薬をはじめから準備している救護所は無いに等しいと言えるでしょう。降圧剤ですら同じ薬を継続できるかどうかわかりません。
そのため、抗HIV療法を受けている本人が災害時の対応について備えておく必要があります。
- 今自分が飲んでいる薬の名前を言うことができますか?
- お薬手帳を持っていますか?
- やむを得ない時のお薬の中断方法を知っていますか?
- 災害時の対応を理解できていますか?
上記の質問に答えられるよう、通院している病院やお薬をもらっている薬局で確認しておきましょう。