ウ
ウイルス Virus
ウイルス学的失敗 Virological failure
ウイルス学的抑制 Virological suppression
ウイルス関連血球貪食症候群 VAHS: Virus-associated hemophagocytic syndrome
【概要】色々な疾患で発生する共通の病態。原因不明の高熱に引き続き、赤血球、白血球、血小板の減少と骨髄での血球貪食をしたマクロファージの増加が特徴的。ほとんどの場合は急性のウイルス感染症が原因である。ウイルス感染に対して、生体側の免疫反応が過剰となり、一気に嵐のように高濃度のサイトカイン血症が発生し、生体側の多臓器不全が発生する病態。EBウイルスが最も多いが、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、HHV-6、HHV-8、アデノウイルス、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルスなど。そしてHIVも原因となる。
ウイルス抑制指数 IQ: Inhibitory quatient
【概要】ある薬物のトラフ濃度とウイルス抑制有効濃度EC50値(またはIC90値)との比率。つまり薬の濃度がウイルスを抑える濃度よりも遙かに高ければ、それだけウイルス増殖をしっかり抑えると考える。ただしその薬物濃度では人間に副作用を及ぼさないことが必要。
ウイルス量 VL: Viral load
【概要】感染者が持っているウイルスの量。以下の複数の意味 がある。(1)体全体にある様々な形のHIVの総量。細胞の遺伝子の中にプロウイルスDNAの形で潜んでいるもの、細胞の中で増殖過程にあるもの、遺伝子の欠陥で増殖能力のないもの、血漿やその他の体液など細胞の外に流れているHIV粒子の総量。これらは動的な平衡関係がある。(2)プロウイルスDNA量:血液や組織からDNAを取りだし、その中のHIV DNAを計ることになる。増殖しているHIVとは限らないし、増殖できない欠陥HIVを増幅定量する可能性がある。(3)血漿中のHIV RNAの濃度。普通はこれを示す。一般にウイルス量が多い患者ほど、HIV感染症の進行が早いか進行期に近づいている。抗HIV薬の効果は感染者が持っている“ウイルス量”を減らし、ついにはゼロにすることが目標であるが、実用的には定量のしやすさから血漿HIV RNA量を測定することになる。
ウインドウ期 Window period
ウエスタンブロット法 Western blot method
【概要】世界で広く採用されている抗体の確認検査法でHIV-1とHIV-2は別々に検査する。特異度は高いが感度は低いので、確認検査法として用いられる。ウイルスの部品、個別に対する結合抗体を判別することができる。各バンドが出そろうには数週間以上がかかり、非特異的に薄い反応がでることもある。HIV-1陽性の判定のためにはenvバンドが2本以上検出されること、あるいはp24 coreバンドが必要である。非特異バンドが出現することがあり、その場合の判定は難しい。「診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020版」では、確認検査として、ウエスタンブロット法に替わりHIV-1/2抗体確認検査法(商品名Geenius HIV1/2キット)を推奨している。