中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

帯状疱疹 Herpes zoster: shingles

【概要】以前に感染した水痘ウイルスが脊髄の中にある神経細胞の中に潜んでいて、免疫が衰えたときに再活性化する。皮膚の片側に帯状の皮疹を作るもの。早期治療をすれば狭い範囲で収まる。皮疹が出る前にピリピリ痛い。一種の日和見感染だが健常者でもしばしば経験する。エイズ指標疾患ではないが、範囲が広く長引く。エイズ発病に先行して発症することが多い。治療が遅れて帯状疱疹後神経痛を残すことがある。治療薬はバラシクロビル(商品名バルトレックス®錠)、ファムシクロビル(ファムビル®錠)。

ダイナスクリーンHIVcombo Dinascreen HIV combo

【概要】免疫クロマトグラフィー法によるHIVスクリーニング検査試薬の名前。HIV-1/2の抗体と、HIV(p24) 抗原を検出できる第4世代のスクリーニング検査法。2016年からアリーア・メディカル株が改良販売。1枚ずつパックされているので小規模医療機関、夜間救急や針刺し対応に便利。検体は全血でも血清や血漿でもよい。キットに滴下後15分で判定でき、目視判定も容易である。p24抗原の検出感度は2 IU/mLで、HIV抗体陰性でHIV RNAが10の5乗レベルでも検出できる。

タイボスト Tybost

【略号】cobi

【概要】『コビシスタット』の商品名。日本では未導入。詳細は、『コビシスタット』を参照。

タキソール®注射液

【略号】PTX

【概要】タキサン系抗がん剤。『パクリタキセル』の商品名。詳細は、『パクリタキセル』を参照。

脱感作療法 Desensitization therapy

【概要】ある物質にアレルギー症状を持っている場合、その物質に感作されているという。その物質を極めて少量から使って、徐々に量を増やすことにより、体が慣れるように工夫する方法を脱感作療法という。アレルギーは一種の抗体が作用しているが、抗体に対する抗体(blocking antibody)を作らせるというのが理論的な根拠となっている。HIV感染症ではST合剤に対するアレルギーが有名で、脱感作療法によって半数以上の患者が再度ST合剤を使えるようになる。

多発性単神経炎 Multiple mononeuritis

【概要】脊髄から出てくる神経のことを末梢神経という。単一の末梢神経が同時に数多く障害された状態。血管炎を呈する膠原病や虚血を呈する糖尿病などで出現する。HIV感染者では通常進行期の患者に発生し、サイトメガロウイルスが関与している可能性がある。灼熱痛、脱力が部位を変えて起こる。診断は筋電図と神経伝導速度。脳脊髄液検査は非特異的であるが、ヘルペス属のウイルスのPCRが役立つ。神経生検も良い。治療ではARTで改善する例がある。免疫グロブリン大量療法や血漿交換、サイトメガロウイルスの治療も試みられる。

ダルナビルエタノール付加物

【商品名及び略号】プリジスタ®錠プリジスタナイーブ®錠 DRV

【用法・用量】プリジスタ®錠:ダルナビル1回600mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回食事中又は食直後に経口投与。プリジスタナイーブ®錠:ダルナビル1回800mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日1回食事中又は食直後に経口投与。

【概要】抗HIV薬プロテアーゼ阻害薬。リトナビルと併用して用いる。

【副作用】発疹、嘔気、下痢など。

ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩

【商品名及び略号】シムツーザ®配合錠 DRV/cobi/TAF/FTC

【用法・用量】1回1錠を1日1回食事中または食直後に経口投与。

【概要】抗HIV薬プロテアーゼ阻害薬ダルナビルエタノール付加物』、プロテアーゼ阻害薬の血中濃度を高く維持する『コビシスタット』、核酸系逆転写酵素阻害薬エムトリシタビン』、『テノホビルジソプロキシルフマル酸塩』の配合剤。

【副作用】下痢、頭痛、発疹、悪心、疲労、腹痛など。

【その他】相互作用が多いため、飲み合わせに注意が必要。

単純ヘルペス Herpes simplex

【概要】市中の接触性感染を起こすウイルス。初感染後に神経細胞に潜伏感染する。単純ヘルペスウイルス(HSV)は、免疫力の低下により活発化して、口の中や唇に痛みを伴ったみずぶくれができるのがHSV-1型。陰部すなわち、性器や肛門周囲にできるのはHSV-2型と呼ばれ、性病でもある。オーラルセックスのためHSV-2が口腔にできることもある。

【診断】単純ヘルペスウイルス感染症のうち、1ヶ月以上継続する粘膜・皮膚の潰瘍を形成するもの、生後1ヶ月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を合併するものはエイズ指標疾患である。確定診断は、1)組織による病理診断、2)培養、3)患部組織又はその浸出液からウイルスを検出することにより診断する。

【治療】塩酸バラシクロビル(商品名バルトレックス®錠)を1日に2回内服。初回例では10日間継続。再発例では5日程度。患者が1年間に6回以上発症するのであれば発病抑制治療を考慮すべきである。耐性の場合、ホスカルネットが試みられている。日本ではビダラビン(Ara-A)が使用可能である。

単純疱疹 Herpes simplex

『単純ヘルペス』と同じ。『単純ヘルペス』を参照。

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