中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

推算糸球体濾過量 eGFR: estimated glomerular filtration rate

【概要】腎機能検査のひとつ。クレアチニン値と、年齢、性別から推定される。正常域は90mL/分/1.73m2であり、90mL/分/1.73m2未満は軽度、60mL/分/1.73m2未満は中等度、30mL/分/1.73m2未満は高度の腎機能低下、15mL/分/1.73m2未満は末期腎不全と判定される。クレアチニン値は筋肉量が多い人は高値であり、男性は女性よりも基準値が高い。テノホビルドルテグラビルナトリウムを内服している場合、クレアチニン値が上昇し、腎機能が悪く見積もられる可能性がある。筋肉量に関係なく腎機能を推定できる採血項目にシスタチンCがあり、これを用いたeGFRの推算式もある。

水痘 Varicella; Chickenpox

【概要】別名みずぼうそう。水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が初めて感染した時の状態。10歳までに感染し、成人の抗体陽性率は90〜95%に達する。感染源は患児の気道や水疱内容で、飛沫で経気道感染する。潜伏期間は14〜21日。紅色丘疹、水疱、膿疱、痂皮の順に急速に進行する。免疫不全児では経過が遷延、重症化し死亡することもある。治療は対症療法とアシクロビルバラシクロビルファムシクロビルの使用。初感染後にウイルスは脊髄の知覚神経節に一生潜伏し、後に再活性化すると帯状疱疹を起こす。

髄膜炎 Meningitis

【概要】髄膜は脳や脊髄を包んでいる膜。一体となってつながっており、その空間を脳脊髄液が流れている。このスペースに微生物が住み着いて炎症を起こしたものが髄膜炎。HIVの急性感染期に無菌性髄膜炎が起こることがある。エイズ指標疾患以外では梅毒性髄膜炎がある。エイズではクリプトコッカス、結核などが多い。慢性の頭痛・悪心嘔吐と微熱で始まり意識障害に至る。脳脊髄液の検査で確定する。前者には抗真菌剤の点滴と内服、後者には抗結核剤で治癒可能。

スクリーニング検査 Screening test

【概要】いわゆる“ひっかけるための検査”。疑わしいものを全部拾い上げ、その中から本当に陽性のものを絞り込む戦略で、第一段階の検査をスクリーニング検査という。検査は鋭敏(=感度が高い)でかつ誤りがない(=特異度が高い)ことが理想。ところが両方を兼ね備えた検査法は少ない。鋭敏さを追求すると誤り(偽陽性)が入ってくるし、間違いないものだけ見つけようとすると、見逃し(偽陰性)がでてくる。スクリーニング検査は、あくまでも見逃しができるだけないように、という所で納得するしかない。陽性や判定保留の場合、必ず確認検査を実施する必要がある。

スタンダードプリコーション standard precautions

【概要】標準予防策とも呼ばれる。感染症の有無に関わらず全ての患者のケアに際して普遍的に適用する予防策である。「血液、体液(唾液、胸水、腹水など)、分泌物(汗は除く)、排泄物、傷のある皮膚や粘膜は感染性病原体を含む可能性がある」とみなし、手指衛生、個人防御具(マスク、手袋など)の使用などで対応することで、患者と医療従事者間の感染の危険性を減少させる予防策である。HIV感染症患者のケアにあたっても、スタンダードプリコーションによる対応で十分感染を予防できることが分かっている。

スティーブンス・ジョンソン症候群 SJS: Stevens-Johnson syndrome

【概要】別名は皮膚粘膜眼症候群。高熱、発疹・発赤、水疱のような激しい症状が比較的短期間に全身の皮膚、口、眼の粘膜に現れる状態。医薬品に対するアレルギー反応だと考えられている。ウイルスやマイコプラズマ感染に伴って出ることもある。年間に人口100万人あたり1〜6人程度の発生率。原因と考えられる医薬品は、HIV感染症ではサルファ剤を含む薬剤、例えばST合剤やファンシダールが本症を起こしやすいことがわかっている。本症について患者教育を行い、早期発見して薬剤を中止することが大切。

ステロイド Steroids

【概要】ステロイドホルモンの短縮名。ステロイドには、蛋白同化ステロイドと副腎皮質ステロイドがあるが、通例では副腎皮質ステロイドを指すことが多い。

スルファドキシン Sulfadoxine

【概要】サルファ剤。別名スルホルメトキシン(sulformethoxine)。半減期が4〜9日と非常に長いサルファ剤。マラリア治療薬のファンシダール錠は、サルファ薬のスルファドキシンと、葉酸拮抗薬のピリメタミンの2成分が配合されているが、現在販売終了している。

PageUP