中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

マイナー変異 Minor mutation

【概要】HIV薬剤耐性関連変異の一つ。メジャー変異と違いマイナー変異だけなら薬剤耐性ではない。通常マイナー変異はメジャー変異の後から遅れて出てくる。変異が重なって悪い性質のHIVになっていく。プロテアーゼ阻害薬に関連したマイナー変異としては、10、20、24、32、36、46、54、71、73、77、88、90などがある。

マクロファージ Macrophage

【概要】日本語では大食細胞。体内に侵入してきた異物に対して最初に反応し攻撃する細胞。侵入物の情報を抗原としてリンパ球に知らせる(抗原提示細胞)。

【詳しく】もともとは骨髄で生まれた白血球の中の単球が局所に住み着いたもの。表面にはCD4抗原を少量もっており、HIV感染する細胞の一つ。HIVの初感染の場合、HIVはCD4リンパ球よりもマクロファージに感染することが多い。ただHIVが増えてもマクロファージは死なないので、HIVの製造所・貯蔵庫になってしまう。

マクロファージ指向性株 Macrophage tropic strain

【概要】HIVの表面のgp120という蛋白がマクロファージの表面にあるCD4と結合しただけでは感染が起こらず、CCR5という共受容体(co-receptor)蛋白と結合すると、細胞内に侵入できる。このような性質を持ったHIVをマクロファージ指向性の株と言う。別名R5ウイルスともいう。侵入阻害薬であるマラビロクは、R5ウイルスの細胞への侵入を阻止することができる。R5という指向性をもっているかどうかは指向性検査をする。

末梢性ニューロパチー Peripheral neuropathy

【概要】“ニューロ”は神経、“パチー”とは障害、あわせて神経障害。原因によらず脳や脊髄(中枢神経)の外側の末梢神経のレベルに障害が起こっているもの。症状としては足先や指のしびれ感などの感覚障害、筋力低下や麻痺までの運動障害、血圧調節・消化管運動・排尿調節の自律神経障害。HIV感染症では中枢神経から末梢神経のどのレベルでも障害が起こることがある。(1)遠位性対称性多発性神経障害、(2)炎症性脱髄性多発性神経障害、(3)多発性単神経炎、(4)自律神経障害に分類される。HIV感染者の35%が様々のニューロパチーがあるという。HIV以外の原因では外傷によるものや糖尿病性のものが多い。HIV感染症ではサイトメガロウイルス水痘帯状疱疹ウイルス、HIV自体が原因となる他、ddIddCd4Tなどの薬剤性ミトコンドリア障害がニューロパチーを起こす。

慢性リンパ節腫脹 Chronic lymphadenopathy

【概要】主に腋窩(えきか=わきの下)や頸部、鼠径部の複数のリンパ節が、2cm以上の大きさで3ケ月以上にわたって腫れている状態。抗HIV療法をしていない慢性期のHIV感染者では普通にみられる。リンパ節内でHIVでの複製に反応してCD8+細胞やB細胞が集まって増えた状態。痛みはほとんどなく、無自覚なことが多い。

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