中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

A

ACTG ACTG: AIDS clinical trial group

【概要】アメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の資金を背景にしたエイズの治療研究グループ。1987年に設立。多くの専門委員会を持っており、主にアメリカ33箇所と途上国16箇所の研究拠点で多施設共同治療研究を実施している。治療プロトコル(約束ごと)には例えば「ACTG 019」のよう に番号がつけられる。

ADAP ADAP: AIDS drug assistance program

【概要】1990年のアメリカ連邦議会ライアン・ホワイト法(the Ryan White Comprehensive AIDS Resources Emergency Act: CARE Act)にもとづいて、貧困者のエイズ関連の医療費(診療、検査、処方など)を行政の財政負担で無料提供する制度。貧困層の感染者が診断後に、お金に心配なく早期治療が受けら れるというメリットを与えた。

AIDS AIDS: Acquired immunodeficiency syndrome

エイズ』を参照。

AMK Amikacin sulfate(Amikamycin)

アミノグリコシド系抗菌薬『硫酸アミカシン』。詳細は、『硫酸アミカシン(抗菌薬)』を参照。

ARC ARC: AIDS-Related Complex

【概要】エイズ発病前の状態を示す便利な概念だが、定義があいまいで最近は使わない用語。HIV感染症の病状が進み、様々な軽い症状が出始めているが、まだエイズと診断する疾患に至っていない時期のこと。初診時に病歴として把握すべき症候が多い。一般にARC症状はエイズの症状よりも軽い。慢性リンパ節腫脹(PGL)、口腔カンジダ症帯状疱疹口腔毛状白板症血小板減少症などがある。

ART ART: Anti-Retroviral Treatment

【概要】抗HIV療法。Anti-Retroviral Treatment(Therapy) の省略形。プロテアーゼ阻害薬を使った3剤併用療法が始まった1996年頃は、それまでに比べれば「高度な活性をもつ」という意味でHighly Active Antiretroviral Therapy;HAARTと命名された。今では強力な治療が当然になったので、敢えて“Highly”をつけることはなくなった。

AUC AUC: Area under the curve

【概要】薬物動態の用語。薬が使用された後の血中薬物濃度をY軸に、時間をX軸にとったときに描く山なりのカーブの下側の面積部分。体内に取り込まれた薬の量を示す指標になる。大きいほど体内に停留する量が多い。

A型肝炎 Hepatitis A

【概要】A型肝炎ウイルス(HAV)による肝炎。感染経路はHAVを含む糞便や汚染された魚介類の生食による経口感染。冬から春にかけて多発する。MSMでの集団発生が見られたことがある。潜伏期は約4週間で風邪のような症状に始まり、発熱、全身倦怠感、悪心・嘔吐、腹痛、筋肉痛そして黄疸がでる。普通は2ヶ月以内に完治するが、一部には回復が遅れ、腎不全、劇症肝炎、再生不良性貧血になることもある。慢性化しない。不顕性感染も多い。診断は血清中IgM型HA抗体の推移や、発症早期の糞便あるいは血中からRT-PCR法で検出する。特殊な治療はなく、安静や栄養補給を行う。A型肝炎蔓延地区に旅行する場合や流行時の二次予防にはワクチンが有効。A型肝炎は4類感染症に定められており、診断した医師は直ちに所轄の保健所に届け出る義務がある。予防はワクチン接種。商品名エイムゲン(化血研-アステラス)。2〜4週間間隔で2回筋注あるいは皮下注。長期に高い抗体の量を維持するには、さらに22週後に3回目の接種が望ましい。

A型肝炎ウイルス Hepatitis A virus; HAV

【概要】A型肝炎を起こすウイルス。遺伝子はRNAでピコルナウイルス科ヘパトウイルス属に属する。糞便中に排泄されるので経口感染を起こす。ヒトからはI〜III型の遺伝子型が検出され、近年国内ではIA>IIIA>IBの順に多い。遺伝子解析は感染経路などの疫学調査に利用される。

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