1.中国四国ブロックエイズ対策事業
● 継続的な連絡会議 ●
■ この事業は厚生省の100%補助事業で、事務局は広島県福祉保健部健康対策課です(担当:結核感染症係、Tel:082-228-2111(内線3247))。去る1997年10月28日広島市で、厚生省保健医療局エイズ疾病対策課長補佐、中四国の自治体担当者、全拠点病院の院長と事務長、広島県臨床心理士会、ブロック拠点病院(中四国エイズセンター)などの関係者を集めた会議が開催されました。今後この会議は「ブロック内エイズ対策連絡協議会」と名称を変更し、「中国四国ブロックエイズ対策推進会議」が具体的な協議を行うことになりました。また各県内でも拠点病院の連絡会議が開かれます。
● 事業の概略 ●
■ 事業の内容としては、@連絡協議会の設置(患者団体との協議、ブロック内連絡協議など)、A講習会・研修会の実施、B医療従事者実地研修、C調査研究事業、D相談事業などとなっています。各事業の骨子は会議で各病院に配布されました。拠点病院以外の方で詳細を知りたい方は、広島県など各県の担当者に資料提供を依頼して下さい。事業実施の依頼や関係などの概略は添付のフロー図を参照して下さい。これによって各拠点病院・各県で講習会や講演会や研修会を希望される場合は、広島県にご連絡下さい(上記)。
● 針刺し事故用の抗HIV薬の配備 ●
■ HIVの針刺し事故が発生したら、抗HIV薬(AZT, 3TC, IDV)の早期投与によって感染予防に成功する可能性が高いことが示されています。国立の拠点病院以外については、各県からこれらの薬剤1ヶ月分が配備されます。なお、エイズ治療研究開発センターでは緊急購入に間に合うよう、最低限3日分の薬剤をセットにした箱を配布する準備をされているとお聞きました。
● 中四国の派遣カウンセラー制度 ●
■ 心理カウンセラーが配置できない医療機関に対しては、「HIV感染者相談事業」によって専門のカウンセラーを派遣します。広島県と広島県臨床心理士会との間の委託事業です。現在、要項などを作成中です。ニーズがあれば臨床心理士会(広島大学保健管理センター児玉憲一助教授、Tel:
0824-26-6178)に直接ご連絡下さい。
2.南谷班
■ 厚生省「エイズ診療のあり方に関する研究班」で、杏林大学名誉教授の南谷幹夫先生が班長(主任研究者)です。大きな目的はナショナルセンターであるエイズ治療研究開発センター(岡
慎一先生、分担研究者)と、全国8カ所のブロック拠点病院への研究助成だと思われます。後者は阪大健康体育部の吉崎和幸先生(分担研究者)が責任者で、別名吉崎班としています。吉崎班の研究課題は「ブロック拠点病院と拠点病院間の連携に関する研究」で、中四国地方では高田が分担研究者となっています。
■ 中四国ブロックとしては、1996年度に「よくわかるエイズ関連用語集Ver.1」を刊行し、全国の拠点病院の他、中四国地方の自治体・保健所、ボランティア団体に配布しました。残部が少数ありますので、追加希望の方は事務局にご連絡下さい。
3.山崎班
■ 厚生省「HIV疫学研究班」で、班長は国立感染症研究所長の山崎修道先生です。公衆衛生的な側面が大きな研究班です。例えば1996年度の献血におけるHIV抗体陽性者数が、10万人あたり0.76人まで増加してきたことが報告されています。
4.エイズ治療薬研究班
■ 前号に記載した通りです。これは厚生省の外郭団体である、財団法人ヒューマンサイエンス財団によるもので、責任者は東京医大の福武勝幸先生です。
5. 発症予防・治療班
● 中心は東京医大の福武教授 ●
■ 厚生省の研究班「HIV感染者の発症予防・治療に関する研究班」は、今年度から主任研究者が山田兼雄教授(聖マリアンナ医大)から福武勝幸教授(東京医大)に変わりました。福武先生は他に厚生省の研究班「エイズ治療薬研究班」の主任研究者もされているので、紛らわしさを避けるため、通称として「発症予防・治療班」と「治療薬研究班」と呼ぶことになりました。分担研究者は産業医大小児科の白幡
聡教授、聖マリアンナ医大小児科の滝 正志助教授です。
● 対象は血友病関連に限定 ●
■ 発症予防・治療班は輸入血液製剤によるHIV感染者とその二次感染者、そして凝固因子障害患者が研究対象になります。平たく言えば性行為感染者以外の、血友病のHIV感染者と非感染者です。いわゆる“第4ルート”も含まれます。
● 患者の全国調査が重点 ●
■ 発症予防・治療班では、患者の全国調査を引き継ぎます。これまでは毎年2回ブロック毎に集計して実施していました。ところが数だけの報告では、複数の医療機関を受診する患者が重複登録されてしまい、“本当の感染者がどれくらい発生したのか”は、わからなかったのです。調査方法を変更することになりました。
● 調査にご協力下さい ●
■ 発症予防・治療班では、10月末に医療機関に直接「最低限の個人特定情報」を含む個人票を郵送します。一次調査は「1.HIV感染生存例」「2.HIV感染死亡例」「3.HIV非感染例」「4.転帰不明と転出例」に分けて記載し、コンピュータ登録によって重複を排除します。二次調査では検査データや病状、和解手続きの有無等が調査されます。これまで山田班で持っていた医療機関名簿に加えて、製薬メーカーからの情報で得た名簿で郵送しているので、重複して郵送されていることもあります。
■ この全国調査は最も大切なものです。今までは1800人と言われていた感染者数が、この調査によって減る可能性があります。いかに正確な人数に近づけるかは、先生方のご協力いかんにかかっています。主治医転出の場合も、可能な限りお調べ下さい。
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