☆ 提訴なしの和解はありません ☆
いわゆる「薬害HIV訴訟」は、輸入血漿を原料とした凝固因子製剤と輸入凝固因子製剤によってHIV感染被害を受けた患者やその家族が、国と製薬メーカー5社を相手に民事訴訟を起こしたものです。1996年3月29日に大阪地裁と東京地裁において和解が成立しました。遅れた人達も提訴をして順次和解作業が進んでいます。合計の提訴者はおよそ1200人で、まだ済んでいない人達が大勢います。変な表現ですが、被告の厚生省もメーカーも裁判所も提訴を待っています。
☆ 未提訴の理由は何でしょうか? ☆
次の場合が考えられます。@過去に非加熱製剤を投与されていながら、HIV検査をしていない。AHIV陽性が告知されていない。B医師が必要な書類を書かない。C提訴できることが伝えられていない。D証明するものが手元に残っていない。E被害者や遺族が情報を十分に知った上で、なお提訴を希望していない。@〜Bは論外です。いずれ明らかになった時には新しい訴訟が生じるでしょう。CとDについては弁護団にお問い合わせ下さい。Eについて、訴訟を起こさないと決断するのは、個人の権利の一部だからです。
☆ 裁判に必要なものは? ☆
俗に3点セットと呼ばれています。(1)血友病であることの証明、(2)非加熱製剤が投与されたことの証明、(3)HIVに感染していることの証明です。それぞれの証明に必要な書類が弁護団で用意されています。俗に言う“第4ルート”や輸血については弁護団にご相談下さい。
☆ 主治医の協力が必要 ☆
被害者には補償を受ける権利があります。提訴をしてもプライバシーは守られます。もちろん医師が訴えられている訳ではないので、主治医や医療機関に不利なことは生じません。弁護団は未提訴の感染者に直接アプローチできません。主治医は積極的に情報を伝えて、提訴をするかどうか選択させてあげて下さい。
☆ エイズ発症者には救済事業 ☆
輸入血液製剤と輸血によるHIV感染者、その二次感染者(配偶者)と三次感染者(母子感染)でエイズを発症した人は、「救済事業」の対象となります。医療手当、特別手当、遺族見舞金、遺族一時金、葬祭料などがあります。具体的な金額は年金にスライドしていますので、医薬品機構にお問い合わせ下さい。訴訟と同様、ご本人がこの事業を知り、申請しなければなりません(代理は可能です)。秘密は守られます。
☆ 健康管理手当も忘れずに ☆ エイズを発症していない輸入血液製剤と輸血によるHIV感染者、その二次感染者(配偶者)と三次感染者(母子感染)には、医薬品機構が「健康管理手当」を支給します。病状により支給額は違います。今年からCD4数の制限ははずされました。年に4回の検査は必要ですが、書式が簡便になり「健康状態報告書」と「日常報告書」の提出は年に1回でよいことになりました。[TAKATA]
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